乳酸菌発酵を知ろう【発酵食品について実体験とともに解説します】

発酵

発酵評論家のTommyです。

乳酸菌っていいって聞くけどなにがいいの?

乳酸菌ってどうやってできてるの?

こんな疑問をお持ちの方に、今回は乳酸菌について、僕自身の経験談も含めて、レシピ例も紹介しながら詳しく書いてみます。

乳酸菌発酵を知ろう【発酵食品について実体験とともに解説します】

乳酸発酵食品は、発酵した食材のすべてに、フルーティーさと酸味、うま味をもたらします。

そして、ありがたいことに乳酸発酵はとても手軽に作ることができます。

手順はとてもシンプルです。

発酵手順

  1. 食材の重さを量る
  2. 重量比で2%の塩を加える
  3. 出来上がりを待つ

最後の待つ日数に関しては、発酵具合により決めてください。

つまり、好きな酸味によって判断して欲しいという事です。

乳酸菌は糖を乳酸に変化

乳酸発酵がおこるのは、乳酸菌の働きによるものです。

乳酸菌は糖を乳酸に変化させ、

  • サワーピクルス
  • ザワークラフト
  • ライ麦パン
  • ヨーグルト
  • サワービール
  • 味噌
  • ワイン
  • チーズ などなど

皆さんが日常食べているものにも関わりをもっている、とっても重要な菌です。

なんの関わりがあるかというと、乳酸発酵は、風味の複雑さとニュアンスを引き出しています。

ザックリ言うと、

乳酸菌は酸や塩分に強く、嫌気性(酸素を必要としない状態でよく育つ)バクテリアです。

乳酸菌は炭水化物を主に糖の形態で消費し、代謝産物として、乳酸を生成する。

ちょっとザックリすぎましたかね💧

専門的に言うとこんな感じなんですが。

つまり、

バクテリアは乳酸発酵のプロセスで酵素を利用してブドウ糖を分解します。

この時のブドウ糖の元素記号は
C6H12O6です。

そして乳酸の元素記号は
C3H6O3
です。

上記の結果として、1分子のブドウ糖から2分子の乳酸に変換されるということです。

実は乳酸菌には2種類の発酵性プロセスが存在します。

同種発酵性乳酸菌
糖を乳酸に発酵するのみに特化した乳酸菌

異種発酵性乳酸菌
糖を乳酸に変化させるという働きだけではなく、アルコールや二酸化炭素、酢酸作用などがあります。

上記以外にも、乳酸菌はタンパク質やアミノ酸を分解する能力を持つものもあり、チェダーやパルミジャーノなどのチーズ系に味の深みや香りを演出してくれています。

乳酸菌と動物の密接な関係

人間と同様に乳酸菌も抜け目なく、世界中に存在しています。

それは、私たち人間も動物もすべての哺乳類には共通する母乳にも存在しています。

誰もが産まれた瞬間から、バクテリアとは切っても切れない関係を持ち続けているのです。

私たち人間は、そんな密接な関係の乳酸菌を自らが作り出す発酵という行為を進んで学んでいるというところも、とても興味深いと感じますよね。

バクテリアの天然発酵

あらゆる野菜や果物の表面や葉の上にも乳酸菌は住みついて、そこでじっと発酵の環境が整うタイミングを待っているんです。

乳酸発酵食品は基本的に『天然発酵』によって出来ることばかりです。

『天然発酵食品』はそれぞれの食品にもともと生息しているバクテリアの集合体に、バクテリア自身が自由に発酵を進めてもらうために、環境を作ってあげるだけなのです。

『天然発酵』の環境を整えてあげると、たちまち発酵が始まります。

天然発酵が始まると、複数のバクテリアがポジション争いを繰り広げ、時間とともに増減を繰り返します。

それはまるで音楽を奏でるように、『風味』というコーラスをそれぞれの『個性』ある声を重ねていきます。

さまざまな乳酸菌による複雑な相互作用がとてもおいしく、複雑な風味のハーモニーを持つ『天然発酵食品』を作り出しているんです。

乳酸菌の発酵は温度だけではなく、利用できる栄養素や個体密度、周囲に存在する他の微生物によっても結果に変化が出ることがまた『天然発酵』の魅力です。

乳酸発酵させたピクルス

発酵料理ではおなじみの野菜の乳酸発酵食品といえば、ごく普通の酸っぱいピクルスです。

僕はいろんな野菜の発酵ピクルス作ります。

その際に注意している食材探しのポイントがあります。

✅ピクルス用野菜の食材探しのポイント

  1. 生で食べても美味しいもの
  2. ジューシーさと
    歯応えのあるもの

この2つです。

特に後者が重要なのは、ピクルスは歯応えこそ美味しさの重要性の一つだと考えているからです。

歯応えのある野菜は、薄切りの魚や肉のカルパッチョ、ロースビートなどにも、歯応えのある野菜のピクルスが実に素晴らしい食感と酸味をもたらしてくれます。

そして、僕にとっての発酵食品の素晴らしさは『野菜のピクルス』だけではなく、乳酸発酵という枠の中で、

『他にどんなものが乳酸発酵できるのだろうか?』

と考えていくことです。

乳酸発酵はとにかく無限な発酵ですから、フルーツだっておいしい発酵食品がでちゃいます。

発酵菌に働いてもらうには?

これまで乳酸発酵について解説してきましたが、乳酸菌はどこにでも存在するので、乳酸発酵食品作りはとっても簡単です。

ですが、基本的な条件が満たされなければ、乳酸菌のパフォーマンスを100%引き出すことはできません。

乳酸発酵を確実に成功させるためのプロセスをもう一度整理しておきましょう。

空気を遮断する

乳酸菌は酸素欠如状態で最高の能力を発揮します。

つまり、酸素が十分にない状態が乳酸菌にとっては好ましい環境です。

伝統的な乳酸菌発酵には、液体につけることで乳酸菌を空気から遮断しているものが多いです。

例えば、ザワークラフト。

ザワークラフトはきゃべつを千切りにすることで、植物細胞を破壊して水分を引き出しています。

そこに塩を入れることによって、キャベツから水分が引き出され、上に置いた重しによってキャベツ自体から出た水分によって漬け込まれます。

このようなプロセスによって、乳酸菌の働く条件が整うんですね。

レストランなどでは野菜が潰れるのを防ぐため、重しは置かずに、真空パックすることで酸素を遮断したりもします。

たとえどんなやり方をした場合でも、乳酸菌の環境から酸素をなくすことは、乳酸発酵をさせる上でとても重要です。

また、酸素をなくすという環境は、発酵の促進だけではなく、病原体の排除にも役立っています。

望ましくないカビを阻害する役割もあるんですよ。

ちなみにカビは細胞呼吸に酸素を必要とする菌です。

十分な塩

実は乳酸菌は塩がなくても育ちます。

では、なんで塩を入れるのか?

それは、耐塩性があるからです。

乳酸発酵食品の塩分を利用して、他の必要のない菌の侵入を防ぐことができるからなんです。

例えば、ボツリヌス菌は嫌気性(酸素がない状態で育つ)ですが、塩や酸を苦手としています。

塩を十分に使うことで、ボツリヌス症を引き起こさずにすみます。

乳酸菌の種類によっても耐塩性もさまざまですが、重量比で8%の塩で乳酸発酵を行える種類のものもあります。

僕は基本的に重量比に対して2%という塩分濃度で乳酸発酵させるようにしています。

この濃度でも有害なバクテリアを締め出すには十分だし、完成品が塩辛くなりすぎることがありません。

また、ザワークラフトのように直接、塩と合わせるのではなく、塩水につけて発酵させる方法もあります。

塩水につけて発酵させるメリットは、酸素を締め出した塩分豊富な環境も作り出すことができることです。

手ごろな大きさに切ったパリパリ食感のある野菜などはサワーピクルスにするととてもおいしくできますよ。

材料をかしこく選ぶ

日本で売られている野菜や果物のほとんどは、ワックスでコーティングされたもの、殺虫剤が散布されたもの、放射線照射されたものが多いですが、これらは必ず避けましょう。

基本的に有機栽培(オーガニック)のものを選べば避けなければいけない条件は満たせます。

天然乳酸発酵食品を作る場合は、食材は洗いすぎないようにしてください。

目につく泥があれば、冷水で優しく洗い流してくださいね。

くれぐれも、こすったり、洗剤を使って洗わないようにしましょう。

すでにカビや腐ったりしているものは、絶対に発酵させないようにすること。

発酵はまるで魔法のような結果を生み出しますが、腐ったり食材を蘇らせることは残念ながらできません。

カビや腐食は望ましくない微生物とともに発酵が始まるため、乳酸菌の発酵に影響が出てしまいます。

乳酸発酵は食材を長持ちさせる保存食としての役割もありますので、腐ったりカビが生えてさえなければ、残り物の食材特にフルーツなんかは少量の塩とともにメイソンジャーなどに入れておけば、ヨーグルトの美味しいトッピングにも使えますよ。

気候を操る

ほとんどの乳酸発酵は約21℃の常温で問題なく発酵が進みます。

28℃という温度では発酵のスピード感もありながら、過度にバクテリアが活動して雑味が出ることがない理想的な温度です。

乳酸菌は冷蔵庫のような低温でもゆっくりと速度は非常に遅いですが、発酵が進むことも覚えておいてくださいね。

発酵という温度には注意して欲しいこともあります。

ピクルスなど歯応えがあってこそ美味しい発酵食品を乳酸発酵させる時には、絶対に高温は避けて発酵させてください。

その理由は野菜にもともと含まれている酵素の分解作用は温度が高いほど急速に進んでしまうためです。

あくまでもピクルスのパリパリ環境を保つならば漬け汁自体にタンニンを含む植物の葉を漬け汁にするか、ミネラル豊富な海塩かミョウバンを使ってください。

そうすることで、植物細胞壁のペクチンが強化されてパリッとした食感が保てます。

まとめ

いかがでしたでしょか。

発酵食品作りは、適切なタイミングをとらえることがとても大切ですね。

果物や野菜は、塩漬けされたその瞬間から、甘味→酸味という変化を始めます。

発酵が足りていない食品は生とあまり変わらない味がしますが、発酵が進みすぎるのもあっという間です。

発酵しすぎた果物や野菜は、どれもほとんどが同じ味になってしまい、食材本来の特徴や風味は、強烈な酸味に全てかき消されてしまいます。

そんな発酵食品の仕上がりを判断できる方法はたった一つ。

『口に入れて食べてみる』という方法しかありません。

全てにおいて、その食材が自分の持っていきたい方向に向いたかどうかは味見をしてみるしかありません。

生の状態の特徴をうまく主張しながら発酵し、酸味、うま味、深みが加わっていることが発酵食品の理想的な姿だと僕は考えています。

みなさんもまずはとても簡単で身体に良い乳酸菌の発酵食品に取り組んでみてはいかがでしょうか?

あなたも発酵ワールドにはまることを楽しみにしています♪

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